エストニアに行ってみた
笹山 桐子
6月に用事でフィンランドへ行ったついでに、ヘルシンキ港からフェリーにのってエストニアへ日帰りで行ってきましたのでその様子をレポートします。
穏やかなバルト海を、フェリーで約2時間かけて進みました。やがて、エストニアの首都タリンの港町が見えてきます。別の国に到着したはずなのに、パスポートコントロールはなく、まるで東京から四国に移動したような感覚で、気軽に上陸できました。エストニアはフィンランドに比べて物価が安いそうで、大きなスーツケースを抱えて食料やお酒を買いに来ているフィンランドの方がたくさんいました。街には、歴史ある教会や大聖堂、赤い屋根の家々、そして石畳の道が広がっていて、まるで童話の世界に入り込んだような気分になりました。
左(または上)の写真は聖オレフ教会。8ユーロ払い124mある塔の階段を登りタリン旧市街の街並みを撮りました。創建は13世紀、もともとは159mあったのですが焼け落ちて、124mになってしまったそうです。素晴らしい景色でした。
旧市街全体が世界遺産。タリンの旧市街は宮崎駿の「魔女の宅急便」の舞台になったといわれています。左下(または下)の写真は城壁の北門、スール・ランナ門。ガイドブックによれば、昔、牢獄として使われていたころ、囚人の世話をしていた太った女将さんにちなんで「ふとっちょマルガレータ」の門と呼ばれるようになったのだとか。
旧市街の奥に見えるのは高層ビル群、エストニアは、IT大国。すべてはオンラインで完結できe-Residency(電子居住者制度)があり物理的にエストニアに居住していなくても、オンラインで会社を設立・運営できるそうです。国会議員選挙では、全投票の43.8%が電子投票システムによって投票されたそうです。
フィンランドよりは安めといっても、食事は高いです。こちら、名物のヘラ鹿の煮込み料理は一皿40ユーロ。メイン料理はだいたいが、30-50ユーロでした。他、魚やミートボールなどもおいしいそうです。
まるでおとぎの国に迷い込んだかのような景色でした。しかし、そのかわいらしい街並みとは裏腹に、この国の“未来”を生きている姿をみました。英語教育やIT教育はとても進、み、国際学力調査では数学・科学・読解の3科目すべてでヨーロッパ1位、世界全体でもトップクラスの成績だそうです。しかも経済的な格差による教育の差がほとんどないというから驚きです。きっと、国全体で「誰もが質の高い教育を受けられる」ことを大切にしているのではないでしょうか。
街で出会った人現地の人々は、目が合うとふっと笑いかけてくれて、その優しさがとても印象的でした。カフェや教会、お店など、どこへ行っても雰囲気が穏やかで、清潔で、安全、時間もきっちりしていて、とても心地よい国でした。
歴史をたどると、エストニアはかつてロシアやドイツといった大国に囲まれ、たびたび戦争の影響を受けてきたそうです。だからこそ、人の痛みに寄り添える、あたたかい心を持った人が多いのかもしれません。そんなエストニアで過ごした時間は、静かでしたがテクノロジーとやさしさが共存するこの国、心に深く残る旅となりました。