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アソシエイトレポート 2024年1月

Go to Togo!

高橋 薫
トーゴ共和国(専門家)

トーゴの首都ロメにある開発計画・協力省へ援助調整専門家として派遣されている、高橋薫と申します。2021年3月、コロナ禍の最中、医療事情が悪く、在留邦人0人という国に赴任するにあたり、最悪の事態も覚悟の上エンディング・ノートを家族に預け、成田を飛び立ちました。幸い、このノートは未開封のまま今日に至っています。今日は、トーゴの事を少しでも皆さまに知って頂きたく投稿させて頂きます。

トーゴは、下の地図のとおり西アフリカのガーナとベナンに挟まれたギニア湾岸に面した国で、海岸線は50Km、南北が約510Kmと細長く、人口は約900万人で、北海道の面積の約67%の小さな国です。公用語はフランス語で、エヴェ語やカビエ語等の多数の民族語が日常語として話されています。気候はロメを含む南部が熱帯気候で、北部がサバナ気候です。ここロメでは、6~7月の大雨季と12月のハルマッタン(サハラ砂漠から吹いてくる風で町中が砂だらけになる)の時期を除き、一年中蒸し暑く、クーラーが手放せません。

トーゴの政治は、現大統領のニャシンベ一族が長期政権の座にあり、外交面では域内の紛争解決の調整役としても活躍しています。他方、北には最近クーデターが発生したニジェール、三回目のクーデターが失敗に終わったブルキナファソが隣接しており、特にブルキナファソとの国境でイスラム過激派によるテロ行為が頻発しているものの、首都のロメは今のところ静かで、一般治安も安定しています。

大豆と米で炊いたアイモルとプランテンバナナを揚げた料理
トーゴの国民食フフはヤム芋をふかしてこねて作る お餅つきと同じ要領

世銀の2022年のデータによると、トーゴの一人当たりのGDPは約918ドルと、隣国のガーナ約2175ドル、ベナン約1303ドルに水をあけられています。30年程前、高松社長がガーナで協力隊員だった際、買い出しも兼ねて隊員総会をロメで実施する程、当時はトーゴの方が経済発展しておりました(一人あたりGDPはガーナ359ドル、トーゴ411ドル)。現在トーゴでは、隣国に追いつけ追い越せと、主要産業である農業の付加価値を高めること、また、西アフリカ第一位のコンテナ取扱量を誇るロメ港を起点に、域内のロジスティックス・ハブとして成長する道を模索しています。さらに、金融面のハブとしての活路も見出しており、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)の開発銀行であるBOAD、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)投資・開発銀行であるBIDCの本部、そして西アフリカ有数の商業銀行であるECOBANKの本店がそびえ立っています。

独立記念広場 左の建物は筆者の職場
ラグーンに沈む夕日

宗教は、ブドゥー教に代表される伝統的信仰が67%、カトリック18%、イスラム教10%、プロテスタント5%となっており、ブドゥー教の儀式や呪術に使われる動物の骨や皮等のアイテムが売られているフェティッシュ・マーケットが有名です。

主食は、キャッサバ、ヤム芋、トウモロコシ、米で、野菜と肉、魚介類の煮こみ等、豊かな食文化を有しています。なお、ロメ市内には、ガーナやベナンにあるようなショッピング・センターはまだありません。インド系、レバノン系のスーパー・マーケットが主に輸入食料品や電化製品を販売しており、野菜や果物等は野性味に溢れた路上の露店で購入する必要があります。

娯楽に関しては、300席ほどの映画館がロメに1軒あり、外国の映画も上映されています。昨年、高級住宅地の中にレストラン、エアコン付きジムとプール、ボーリング場を完備した複合施設がオープンし、週末は現地の富裕層で非常に賑わっております。私もエアコン無しの庶民ジムとここの高級ジムを掛け持ちし、汗を流しています。外国人が好むような娯楽の種類は決して多いとは言えませんが、ヤシの木が林立するビーチ沿いを散歩しながら、バイクがひしめく道を行き交う物売りのたくましさに感心し、ロメも住めば都だと感じています。

私の任期も後残すところ後4か月となりました。振り返れば、日本のODAのトーゴに対する投入額や援助モダリティが限定されてしまっている事から、新規案件を提案し続けるも徒労に終わり、専門家派遣の意義を自問自答する日々でした。そんな中、トーゴの自然、食べ物、現地の仲間達との他愛もない会話に癒され、励まされ、たまには流れに身を任せ、ゆっくり進むことも必要と実感した3年間でした。トーゴが生んだアフロ・ポップスターであるToofan (https://www.youtube.com/watch?v=xccQADzqMeo)を聞きながら、ビーチで現地の人々とビール片手にまったり過ごした優雅な時間は、いつまでも思い出に残ることでしょう。

ブドゥー教の儀式に使う道具が販売されるマーケットの様子 サルの頭蓋骨もある
ヤシの木が生い茂るロメのビーチ